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勇者「俺は勇者!必ずや魔王を倒し世界に平和をもたらして見せます!」
王「おお…、勇者よ!なんて頼もしいんだ!!」
勇者「魔王を倒し、世界に平和を齎す事……それが我が一族の使命であります!」
民「きゃーー!!勇者様こっちむいてーー!!無事に帰ってきてください!!」
勇者「おお!愛する民たちよ!魔王を倒して必ずやこの城に戻ってこよう!」
子供「きゃあーゆうしゃさ…(転んでしまう)ふええぇ〜〜ん!」
勇者「おお、大丈夫かい?(駆け寄り手を差し伸べる)」
子供「うぅ…うっ、ぐすっ…」
勇者「いい子だ、ほら涙をふいて。君のその綺麗な顔が台無しだぞ?(子供の手を取り立たせる)」
子供「う、うんっ…!」
中年男性「勇者様…なんて清廉で男らしく高潔な方なんだ…。」
中年女性「あの方なら必ず魔王を倒してくれるわ!勇者様!頑張って!」
勇者「(爽やかに)ご声援ありがとうございます!」
そして勇者は最初の村に行き仲間を集める事にした。
そして集まったのは……。
1人目は賢者、2人目は屈強な戦士、3人目は美しい踊り子だった。勇者はこのパーティーで魔王討伐の旅に出発したが…。
賢者「ふああ…おい、勇者。茶を持って来い。」
勇者「えっ?またですか?さっき飲んだばかりじゃないですか」
賢者「黙れ!!(杖で勇者を何度も叩く。)早く持って来い出来損ない!!」
勇者「痛っ!分かりましたよ!ちょっと待ってください!」
踊り子「ねえ?私にもジュース持ってきて!あと、服も買いなさい!!」
勇者「あの……今はそれどころじゃ……」
戦士「勇者ッッッッ!!!!サンドバッグになれやあぁぁ!!!!(勇者の腹にガスッッッッと拳をぶつける)」
勇者「ぐえぇっ!ひ、卑怯だぞ貴様ら!!」
戦士「問答無用!!(ガスッッッッ!!!!ボコォッッッッ!!!!と勇者を殴りまくる)」
勇者「ぐあぁ……ご、ごめんなさい!調子に乗りましたぁ!許してくださいぃぃぃ!!(半泣きで謝る)勇者なのにぃぃぃ!!(ボコォッッ)あうっ!!」
賢者「遅い!!さっさと茶を淹れろ!!(勇者に魔法で電撃を浴びせる)」
勇者「ひぎいぃ!!痛すぎるぅぅ!!(びくびく痙攣して倒れる)……うう、何でこんな事に。俺は勇者なのに……ぐすっ。(泣きべそをかく)ああっ!」
踊り子「ねえ?!ジュース早く持ってきてよ!?この役立たず!死ね!」
勇者「ああっ!痛い痛い!痛いですぅぅ!!(半泣き)……ひ、ひぃっ!(逃げ出した)誰か……助けてぇええ!!勇者を助けてぇえ!!(大声で叫ぶ)うぅ……」
戦士「逃げんじゃねえええ!!!(追いかけて首を絞める)罰として服を脱げ!!(全裸にする)」
勇者「ひいいっ!?そ、そんなぁ……ああっ!やめてください!お願いしますぅぅ!!(半泣きで懇願する)はぁはぁっ……死ぬぅ……死んじゃうよぉ……。誰かぁ、助けてぇえ……!」
賢者「さっさと茶を持って来い!!」
勇者「(お茶とジュースの準備をして賢者と踊り子に全裸で渡す)賢者…踊り子…ジュースを持ってきたよ…。」
賢者「私には敬語で話せ!出来損ない!」
踊り子「そうよ!私達の奴隷のくせに!」
勇者「はい……分かりました……。す、すみませんでした……!賢者様、踊り子様……。こ、これがご注文のジュースとお茶です(半泣きで渡す)うう、ぐすっ」
踊り子「げぇーーーっ!まずい!(勇者にぶぅーーっ!!!とジュースを吹きかける)」
勇者「ぶあっ!(ジュースと唾がかかる)ひいいっっ!!熱いぃぃい!!(半泣きで咳き込む)うう、ひどいよぉ……。俺なんにもしてないのにぃ……ぐすっ」
戦士「オラァッッッ!!!勇者!俺の練習相手になれ!!(一方的に勇者を殴る)」
勇者「いやだぁぁ!!ごめんなさい!許してください!もう許してぇえ!!(ボコォッッと殴られる)ぐええぇっっ!!ひっ、ひいっ……たす、助けてぇえ……!!」
そんなある日、とある村にやってきた勇者一行。
村の子供「勇者さまー!(手を振る)」
村人の女性「あ!あれは勇者様だわ!」
勇者「やぁ!みんな、こんにちは!元気にしていたかい?(爽やかに手を振る)今日は何をしてたんだい?(子供たちの目線に合わせるためしゃがむ)」
子供「うん!みんなで草むしりしてたんだよ!勇者さまもやるー?楽しいよ!(楽しそうに笑う)ほら、この草抜くときれいな宝石がでてくるんだよー!すごいでしょ?」
勇者「おぉー!それはすごい!俺も手伝わせてもらっていいかな?(子供と一緒に草むしりをする)ふぅ、結構疲れるね。でも楽しいよ。ありがとう、みんなのおかげだね」
勇者は表向きは勇者らしく振る舞っていたが賢者、戦士、踊り子のイジメは酷かった。勇者は毎日のように傷だらけで宿に帰っては、いつも一人で泣いていたのだった。ある日の事、勇者たちはとある町で仲間を一人増やすことにした。その仲間とは……。
僧侶「初めまして勇者様。わたくし僧侶と申します。旅に同行させていただきますので何卒よろしくお願い致します。(深々とお辞儀をする)さあ、早く参りましょう!魔王を倒し平和な世界を作るのです!」
勇者「ああ、初めまして。じゃあ早速出発しようか!(爽やかに微笑む)あれ?そういえば君って女の子だよね?大丈夫なのかい?(心配そうに見つめる)危険だよ……。怪我でもしたらどうするんだい?」
踊り子「私だって女でしょうよ!!!!(勇者の頭を蹴る)死ねっ!死ねっ!奴隷のくせに偉そうに!(何度も勇者を殴る)」
勇者「いたたっ!!ごめんなさい!許してください!お願……ぐはっ!!(腹にガスッガスッと拳がぶつけられる)ひぎいいぃ!!(びくんと痙攣して倒れる)」
僧侶「まあまあ……。喧嘩はお止めなさい。(勇者を介抱する)大丈夫ですか?勇者様、お怪我はございませんか?(心配そうな表情で見つめる)さあ、行きましょう!」
賢者「勇者!!早くメシを作れ!!(勇者に魔法で電撃を浴びせる)」
勇者「ひいいっっ!!お、俺が作りますぅ!(半泣きで料理を作る)……はい、できましたぁ……(震え声で賢者に料理を手渡す)うう……ぐすっ」
賢者「(料理を見て顔をしかめる)何だこの汚いものは!?こんな物食えるか!!(勇者に蹴りを入れる)おい、魔法使い!この不味そうな料理を片付けろ!!早くしろ!(怒鳴りながら何度も勇者を電撃で攻撃する)」
勇者「うああぁっっ!!ひぎいいぃ!!……ううっ、ぐすっ……。わ、分かりましたぁ……。(泣きながら料理を片付ける)うぅっ……ぐすっ、ひぐっ……!」
戦士「勇者ァァ!!!(勇者の頭を何度も殴る)練習相手になれェェ!!!」
勇者「ひいいっ!!やめてぇ!殴らないでぇ……!(泣きながら許しを請う)いたぁ!痛いよぉぉ……ぐすっ、ひっく……!許してくださいぃ……ひぃぃん……!」
僧侶「勇者様、大丈夫ですか?(心配そうに見つめる)……泣いてばかりいないで。さあ、涙を拭いてくださいまし。(優しくハンカチで勇者の涙を拭く)少し休みましょうか?」
勇者「(泣きながら首を横に振る)いえ、大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません……。さあ、行きましょう!魔王を倒し平和な世界を取り戻すのです!(涙を拭いて立ち上がる)よしっ!がんばるぞー!」
踊り子「さあ、今日も張り切っていきましょう!(勇者の背中をバシッと叩く)魔王を倒しに行くわよ!ほら、さっさと歩きなさいよ。グズグズしてるんじゃないわよ。奴隷のくせに生意気なんだよ!(勇者の服を脱がして鞭で何度も叩く)」
勇者「ぐうぅ……。はい、分かりました……。(全裸で泣きながら四つん這いで歩き始める)ぐすっ、ひっく……!痛いよぉ……うう、ううっ……!(嗚咽しながら歩く)ぐすっ……」
踊り子「きゃはは!!!やっと奴隷らしくなった!オラッ!歩け!(何度も勇者を鞭で虐待する)」
勇者「ううっ……ぐすっ、ひいっ!……ひっく、うぅ……。痛いよぉ……ぐすっ(泣きながら四つん這いで進む)ううっ、ひっく……!(全身傷だらけで血まみれになっている)」
僧侶「………。(悲しそうな表情で見つめる)哀れなお姿ですね……。さあ、参りましょう勇者様!魔王を倒しに!(優しく勇者の手を握る)貴方には私がついておりますわ」
勇者「……魔王を倒して平和な世界を取り戻すんだ……そして皆が平和に暮らせるようにするんだ…それが…俺の使命だから…。(目が虚ろ)」
だが勇者は、この仲間達が嫌いだった。
賢者は口汚く罵り、暴力を振るい、勇者を奴隷扱いするし。戦士は勇者をいたぶりながら練習相手と言ってサンドバッグにするし、踊り子は憂さ晴らしに勇者を虐待する。そして僧侶は……。
僧侶「勇者様!回復魔法をおかけしましょう!(勇者の傷を治す)これでもう安心ですね!さぁ、参りましょう!魔王を倒しに!(手を差し伸べる)」
勇者「……。」
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勇者「(踊り子と僧侶から逃げるため走る)お前らなんか大嫌いだああぁああっっ!!(泣きながら走り去る)うわああぁぁああっっ!!うわああぁああーーっっ!!(号泣する勇者)」
踊り子「逃がすかァ!!(勇者を殴る)このクソ奴隷が!!(僧侶と共に追いかける)待てええっ!!(勇者を殴る)死ねえっ!!(僧侶と共に殴り続ける)死んじまえぇっ!」
僧侶「(勇者を殴る)待ちなさい!(勇者を殴る)逃げるなんて許しませんわ!(勇者を殴る)止まりなさいっ!(勇者を殴る)許さないわっ!」
勇者「ひっく、うっ……ひぐっ……!痛いっ!やめてくれぇ……!(泣きじゃくりながら逃げる)誰か助けてぇっ!!(勇者は逃げ続ける)ああっ!誰かっ、助けてくれえっ!!」
その時だった。勇者たちの目の前に暗黒のオーラが現れ、そこから魔王エルノンゲールが姿を現した。僧侶と踊り子は驚愕する。
かつて自分たちが奴隷のように扱っていた勇者が、本当に魔王に拾われていたとは思いもしなかったのだ。
魔王「………貴様ら。私のハルドに何をしている?(激怒している)私のものに手を出すなと。(暗黒のオーラを放つ)さっさと失せろクズ共ッ!!」
僧侶「え…!?ま、魔王…エルノンゲール……!?まさか、貴方が勇者ハルド様を……!?何故です!何故ですかぁっ!!(勇者を殴る)」
踊り子「なんでよッ!!おかしいじゃない!!(勇者を殴る)なんでアンタが魔王と一緒にいるのよおおおおお!!!!」
勇者「痛いっ!ひっく……!うわああっ!!もう、お前らの所に戻るもんかあぁっ!(勇者は泣き叫ぶ)ひぐっ……ぐすっ……。うわああっっ!!(号泣する)」
魔王「早く失せろ!私のハルドに手を出すな!(激怒する)私のものに触るなっ!(激怒しながら踊り子と僧侶を魔法を放つ)死ねえっ!クズ共がっ!!」
僧侶「え……(凄まじい魔力の波動にやられ気絶)きゃああっ!(倒れる)ぎゃああっっ!(同じく倒れる)ひいっ、助けてぇ……っ!!(泣き叫びながら逃げ去る)うわぁああんっ!!(号泣する)」
踊り子「や、やめてぇっ!ぐすっ……ごめんなさい!許してぇ!!(逃げる)うわああぁん!ごめんなさああいっ!!(泣き叫びながら逃げ去る)ひいっ、許してええぇっっ!!」
勇者「(逃げ去る二人の背中を見ながらゆっくり立ち上がる。)……助かった……の……か?(魔王に向き直る)あ、ありがとうございます。助けてくれて。本当に助かった。有難うございます……っ!!(泣きながらお辞儀をする)」
魔王「ハルド…。(勇者に抱きつく)良かった……!ハルドが無事で良かった……!(涙を流す)もう絶対に離しません、永遠に一緒ですからね?(勇者を強く抱きしめる)もう二度と離さない……っ!」
勇者「うん……。ありがとう、本当に嬉しいよ。(魔王を抱きしめる)俺は魔王と一緒に暮らすよ。もう、勇者なんかやめて、ずっと側にいるから……。(涙を流しながら微笑む)」
そして勇者は魔王城で暮らし始める。
魔王城でハルドはどんな風に過ごしているかと言うと、魔王エルノンゲールと共に暮らし、平和に暮らしている。
城内での元勇者ハルドの仕事は、家事全般である。魔王城にいる魔物達にご飯を作ってあげたり、掃除をしたりしている。
魔王エルノンゲールも手伝ってくれるが、いつも笑顔でハルドの手伝いをしていてくれるのだ。
正直、戦うよりもこう言った家事や料理をしているほうがハルドにとっては有意義なのである。
もう勇者に戻るつもりもないし、魔王と一緒に平和に暮らせればそれでいいと思っている。魔王もそれを望んでいるはずだし、何よりも大切な存在だ。
勇者「エルノンゲール!今日のご飯は豚のステーキだよ!美味しそうに出来たから沢山食べてね!(微笑む)エルノンゲールは、肉は好きだったよね?(皿を渡す)美味しいかな?(不安そうな表情を浮かべる)」
魔王「とても美味しいですよ!ハルドの料理は何でも美味しいです。私の為に頑張って作ってくれて、本当に感謝しています(微笑む)有難うございますね、ハルド。私は幸せ者ですね……っ!」
だが、ある日の事だった。
人間達の軍勢が魔王城を襲撃し始めた。
それを指揮していたのはかつて勇者を虐げていた仲間達である賢者、戦士、踊り子、僧侶だった。
賢者「魔王よ、貴様をここで討ち果たし我等が魔族を統べる為にお前を殺すっ!(魔法を放つ)」
戦士「ウオオオオオ!!!!勇者め!!裏切者めぇッ!!!殺してやるッ!!!」
踊り子「ハルド…私を裏切って魔王と愛し合ってるなんて許せない…奴隷の癖に…奴隷の癖にィィィッ!!(激怒)殺してやるっ!殺してやるわああっっ!!(激怒する。)」
僧侶「なんで勇者様が魔王なんかの味方になるのですか!?貴方が居なくなったせいで私は……っ!(激怒する)許せないっ!!絶対に殺してやるわああっっ!!(激怒する。)」
好き勝手に魔物を殺し、城に侵入しようとする人間達に魔王は激怒する。勇者は魔王の前に立ち、人間達の前に立ち塞がる。魔王は勇者の手を取り、言う。
魔王「ハルド……一緒に戦いましょう……!私達の力を見せてやりましょう……!」
勇者「いいよ、エルノンゲール。でも……君は俺が守るからね。絶対に。(魔王の手を握る)ずっと一緒に居ようね、エルノンゲール。ずっと一緒だからね……っ!(微笑む)」
踊り子「ハルド……!私は、あんたを信じていたのよっ!それなのに裏切るなんて酷いわっ!!(激怒する)絶対に殺してやるっ!(激怒する。)許さないんだからぁっっ!!(激怒する。)殺してやるっっ!!」
勇者「勇者なんてもうどうでもいいんだ。俺は君がいるならそれでいいから……っ!(魔王の手を強く握る)エルノンゲール、ずっと一緒に居ようね……っ!(微笑む)」
踊り子「話を聞けよおおおおおおおッッッ!!!!!!!何よ!!!何でぽっと出の魔王と仲良くしてんのよッ!!!私の方がアンタの事を愛してんのに何でよっ!(激怒する)許さないわぁっ!!殺してやるぅっっ!!(激怒する。)絶対許さないわよおおっっ!!(激怒する。)」
勇者「殺す、殺す……人間共めっ……!!殺してやるッ!!(激怒する。)魔王は俺が守るんだっ!!(剣を構える。)エルノンゲールは俺が守るんだっっ!!」
僧侶「そん…な…勇者様……なぜ魔王と……?そんな……嘘だ……嘘よ……!(絶望する。)信じないっ!絶対に信じないわぁっ!(絶望する。)殺す、殺してやるっ!」
勇者「黙れッッ!!!!!!一緒に旅をしていた時、お前らが俺にした仕打ちを忘れたのかッッ!!(激怒する。)殺してやるッッ!!(激昂する。)許さないぞ、お前らはここで俺が倒すッ!(剣を構えて突進する。)」